不動産物件には耐用年数という考えがあります。 その中でも中古マンションの寿命ともいえる耐用年数は実際のところ何年くらいだと思われますか?
耐用年数の平均は40年前後
中古マンションの耐用年数を「実際に中古マンションが建て替えられるまでの年数」を耐用年数として考えます。 全国平均が33.4年、東京都は40.0年となっています。(2014年のより)
このデータからおおよそ、築36年~50年の間に約75%の中古マンションが建て替えを実施しているということになります。
ただこの年数がきたら絶対に建て替えないといけなにのか?というとそういう訳ではありません。 メンテナンス状況が良く築40年以上経っても耐震性などに問題がないマンションもあります。
法定耐用年数と実際の耐用年数の違い
また、建物の耐用年数には法定耐用年数というものがあります。
法定耐用年数とは、財務省が発表している耐用年数のことで、賃貸マンションを経営している人が減価償却費を計算する際に用いるものです。
鉄筋コンクリートで作られているほとんどの中古マンションは、耐用年数が47年とされており、税金などを計算する際は「47年たったら価値がゼロになるものとする」と定義されています。
中古マンションの建物寿命は?
では、物理的な中古マンションの寿命や耐久性はどのくらいなのでしょうか。
によると、鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は120年、外壁塗装などのメンテナンスを行った場合で150年とされています。
ただ、現実的には築120年などのマンションが日本に存在する、またはこれからも存在する可能性はあるのでしょうか?
中古マンションの耐用年数に影響を与える3つの要因
結論から言うと、物理的に120年大丈夫と言われても、そこまで使用できる物件は難しいと思われます。
その要因を解説します。
その①管理・修繕状況
マンション、特に中古マンションではより管理・修繕がきちんとできているかが重要な要素となります。
例えば、上に見たように築100年以上もつ鉄筋コンクリート造のマンションでも、建てた後にそのまま放置していると50年も持たずにボロボロになってしまいます。
なので、管理をしっかりしていかないと物理的な耐用年数の120年というのは、ほぼ不可能となります。
特に、築古で住人自体も高齢化しているマンションなどであれば、建て替えや大規模修繕費用を徴収することも難しいといった状況にも陥る可能性もあります。
その②マンションの耐震基準
耐震基準とは、建築物が地震に対する強さをどれだけ持っているかという基準で、建築基準法によって定められています。
そして耐震基準には、大きく分けて1981年6月までに建築確認が行われた「旧耐震基準」と1981年6月以降に建築確認が行われた「新耐震基準」の2つに分かれます。
旧耐震基準の場合、コンクリートの性能や鉄筋の量、施工法が異なっているため現行基準のマンションに比べると耐震性能は低いと言わざるを得ません。
耐震補強工事も修繕金の徴収の問題や、周辺の美観上の問題などで簡単に実施できないケースも多いようです。
その③排水管などの建物構造
マンションの構造や躯体のメンテナンス状況ではなく、水道などの配管の問題というものも見過ごせません。
1970年代に建てられた築50年超のマンションでは、排水管がコンクリートに埋まっていたり、下の階の天井裏を通っているケースが多くみられ、メンテナンスが事実上できないといったことも起こりえます。
結果的に、排水管の耐用年数である25~30年がマンション自体の耐用年数になってしまう可能性があるということです。
まとめ
中古マンションの耐用年数は、物理的には120年以上とされていますが、実際には40年前後が多いです。 耐用年数を過ぎたマンションでも、もちろんメンテナンス状況などによって違ってくるものの、すぐに住めなくなるわけではありません。